ファクタリングを使おうと決めたはいいものの、「どの会社に頼めばいいんだろう」と迷う方は多いと思います。私も前職の経理時代、会社の資金繰りが厳しくなったときにファクタリングを検討したことがあります。そのとき困ったのが、まさにこの「会社選び」でした。
検索すればたくさんの業者が出てくるんですが、手数料の表記がバラバラだったり、契約条件がわかりにくかったり。正直、どこを見て比較すればいいのかさっぱりでした。
あれこれ調べて実際に問い合わせもして、最終的にわかったのは「見るべきポイントを押さえておけば、そこまで迷わなくなる」ということです。今回は、ファクタリング会社を選ぶときにチェックしておきたい5つのポイントを整理してみます。
目次
そもそもファクタリング会社によって何が違うのか
手数料・入金スピード・対応範囲はバラバラ
ファクタリング会社と一口に言っても、サービス内容はかなり違います。手数料率、入金までにかかる時間、買い取れる売掛金の下限額、オンライン対応の有無。こうした条件が会社ごとにまちまちです。
「どこも似たようなものでしょ」と思っていた時期が私にもありました。でも実際に見積もりを取ると、同じ売掛債権でも手取り額に10万円以上の差が出ることもあります。比較せずに1社だけで決めてしまうと、もったいないことになりかねません。
2社間と3社間、どちらに対応しているか
ファクタリングには大きく分けて「2社間」と「3社間」の2つの方式があります。
- 2社間:利用者とファクタリング会社だけで契約する。売掛先に知られない
- 3社間:売掛先も含めた3者で契約する。手数料は安くなりやすいが、売掛先にファクタリングの利用が伝わる
会社によっては2社間しか扱っていなかったり、逆に3社間のみだったりします。自分の状況に合った方式を扱っている会社かどうか、最初に確認しておくのが大事です。
ちなみに、前職で検討したときは「取引先にファクタリングを使っていると知られたくない」という社内の判断があり、2社間一択でした。逆に、取引先との関係が良好で事情を説明できるなら、手数料が安い3社間を選ぶのも合理的な判断です。
ポイント① 手数料の「上限」と「総コスト」を確認する
下限手数料に惑わされない
ファクタリング会社のサイトを見ると、「手数料1%〜」とか「業界最安水準」といった表記をよく見かけます。ここはちょっと注意が必要です。
下限の手数料は、あくまで最も条件がよかった場合の数字。実際に提示される手数料は、売掛先の信用力や売掛金の額、利用回数などによって変わります。大事なのは「上限がどこまでいくのか」のほう。
一般的な手数料の相場は、以下のとおりです。
| 項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
|---|---|---|
| 手数料の相場 | 8〜18% | 2〜9% |
| 入金スピード | 即日〜数日 | 数日〜1週間程度 |
| 売掛先への通知 | なし | あり |
たとえば100万円の売掛債権を2社間で手数料15%で売却すると、手元に入るのは85万円。3社間で5%なら95万円です。この差は小さくありません。
さらに言うと、手数料率は売掛先の信用力によっても変わります。売掛先が上場企業や官公庁なら、未回収リスクが低いぶん手数料は下がりやすい。逆に設立間もない小規模な会社が売掛先だと、手数料は高めに設定される傾向があります。自社の売掛先がどういう企業かによって、見積もり結果はだいぶ変わってくるんですね。
手数料以外にかかる費用の内訳
見落としがちなのが、手数料以外のコストです。会社によっては以下のような費用が別途かかります。
- 着手金(審査・事務手続きの初期費用)
- 債権譲渡登記の費用(登録免許税7,500〜15,000円+司法書士報酬)
- 印紙代、郵送費などの事務経費
「手数料は安かったけど、諸費用を含めたらトータルでは高くついた」というケースは実際にあります。見積もりをもらうときは、最終的に手元に残る金額で比較するのが鉄則です。
ポイント② 契約書が「債権譲渡契約」になっているか
償還請求権(リコース)の有無を必ずチェック
ファクタリングの契約で最も重要な確認事項がこれです。
「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」とは、売掛先が代金を支払わなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に「お金を返してください」と請求できる権利のこと。これがあるかないかで、リスクの所在がまったく変わります。
- ノンリコース(償還請求権なし):売掛先が倒産しても利用者に請求は来ない。日本のファクタリングの標準的な形
- ウィズリコース(償還請求権あり):売掛先が払わなければ利用者が負担する。実質的には貸付と同じ
まともなファクタリング会社であれば、ノンリコース契約が基本です。私も調べるまで正確に理解していなかったんですが、ウィズリコース契約は法律上「貸付」にあたるため、銀行や貸金業登録のある業者しか扱えません。
「金銭消費貸借契約」だったら要注意
契約書のタイトルや内容もしっかり見てください。正規のファクタリングなら「債権譲渡契約書」になっているはずです。
もし「金銭消費貸借契約書」という名称だったり、「担保」「保証人」「分割返済」といった文言が出てきたりしたら、それはファクタリングではなく貸付です。貸金業登録のない業者がこうした契約を結ばせるのは違法行為にあたります。
契約書って読むのが面倒なんですよね。でも、ここだけは目を通しておいてほしいポイントです。
ポイント③ 入金までのスピードと手続きの手間
即日入金の条件を具体的に聞いておく
「最短即日入金」と書いてある会社は多いですが、全員が即日で入金されるわけではありません。即日対応にはだいたい条件があります。
- 午前中に申し込みを完了していること
- 必要書類がすべて揃っていること
- 2社間契約であること(3社間は売掛先の承諾が必要で時間がかかる)
急ぎで資金が必要な場面では、「最短〇時間」の表記だけでなく、実際にどのくらいかかるのかを事前に聞いておくのが確実です。
必要書類が少ないほうが現実的に使いやすい
ファクタリング会社によって、求められる書類の量はかなり違います。
請求書と銀行口座の入出金明細だけで済む会社もあれば、決算書や登記簿謄本、納税証明書まで求められるところもある。書類が多いほど準備に時間がかかりますし、急いでいるときにはそれだけで致命的です。
オンラインで完結できる会社なら、来社不要で24時間申し込みができます。忙しい経営者やフリーランスには、この点も選ぶ基準になるはずです。
経理をやっていた頃の感覚で言うと、「必要書類を揃える手間」は想像以上にバカになりません。決算書を探し出して、登記簿謄本を法務局で取って、それを郵送して……となると、それだけで2〜3日はロスします。資金繰りが逼迫しているタイミングでこの手間は痛い。書類が少なくて済む会社を選ぶのは、スピード面でもかなり重要です。
ポイント④ 運営会社の信頼性を自分の目で確かめる
最低限チェックすべき会社情報
ファクタリング業界は、残念ながら悪質な業者がゼロではありません。だからこそ、運営会社の基本情報は自分で確認しておく必要があります。
チェックしておきたいのは以下の項目です。
- 会社の所在地が明記されているか
- 代表者名が公開されているか
- 固定電話番号があるか(携帯番号のみは要注意)
- 設立年や資本金の記載があるか
- 「経営革新等支援機関」など公的な認定を受けているか
公式サイトにこうした基本情報がない会社は、避けたほうが無難です。逆に、こうした情報をきちんと開示している会社は、それだけで一定の信頼感があります。
なお、「経営革新等支援機関」とは中小企業庁が認定する公的な支援機関のことで、一定の専門知識や実務経験が認められた事業者だけが名乗れる肩書きです。ファクタリング会社がこの認定を受けているかどうかは、信頼性を測るひとつの目安になります。
実績・口コミは参考程度に
「累計取引〇万件」「買取実績〇億円」といった数字は、判断材料のひとつにはなります。ただ、それだけで安心するのは早い。口コミも同様で、すべてが実態を反映しているとは限りません。
実績や口コミはあくまで参考情報。最終的には自分で見積もりを取り、契約内容を確認して判断するのが一番確実です。
ポイント⑤ 複数社から見積もりを取って比較する
同じ売掛債権でも条件は会社ごとに違う
ファクタリングの手数料は、会社ごとの審査基準で決まります。同じ売掛債権を持ち込んでも、A社では12%、B社では8%と提示されることは珍しくありません。
売掛先の業種や規模、支払いサイト、利用者の取引実績など、審査で見るポイントが各社で異なるからです。1社だけに絞らず、最低でも2〜3社から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりを取るときに聞いておくべきこと
見積もりの際には、手数料率だけでなく以下の点も合わせて確認しておくとスムーズです。
- 手数料以外の費用はかかるか(登記費用、事務手数料など)
- 最終的に手元に残る金額はいくらか
- 入金までにかかる日数
- 契約はノンリコース(償還請求権なし)か
- オンラインで完結できるか
この5点を各社で並べて比較すれば、自分に合った会社が見えてきます。
見積もりを取ること自体は無料の会社がほとんどなので、コストをかけずに情報収集ができます。面倒に感じるかもしれませんが、数十万円の差が出ることもある話。ここは手を抜かないほうがいいです。
悪質な業者を避けるために知っておきたいこと
金融庁・消費者庁も注意喚起している
ファクタリングを装った違法な貸付は、実際に社会問題になっています。金融庁の注意喚起ページでは、偽装ファクタリングの手口や相談窓口が紹介されています。
消費者庁でも「違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください」として注意を呼びかけています。少しでもおかしいと感じたら、契約前にこれらのページを確認してみてください。
こんな業者には近づかない
以下のような特徴がある業者は、悪質である可能性が高いです。
- 手数料が30%を超えている
- 「審査なし」「誰でもOK」と謳っている
- 契約書を見せない、または口頭やLINEだけで契約しようとする
- 償還請求権や買戻請求権が契約に含まれている
- 担保や保証人を求めてくる
- 分割返済を提案してくる
- 会社の所在地や連絡先が不明
こうした業者は、ファクタリング会社を名乗っていても実態は違法な金融業者に近い存在です。手数料の安さや審査の甘さに釣られないよう、冷静に判断してください。
まとめ
ファクタリング会社を選ぶときは、次の5つを押さえておけば大きく外しません。
- 手数料の上限と総コストを確認する
- 契約書が「債権譲渡契約」で、償還請求権がないか確認する
- 入金スピードと手続きの手間を事前に把握する
- 運営会社の基本情報を自分の目でチェックする
- 複数社から見積もりを取って比較する
焦って1社に飛びつかず、落ち着いて比較すること。地味ですが、それが一番の防御策です。